沼津の上杉竜翔(りゅうと)三塁手(3年)は、同校OBで、1991年(平3)の甲子園出場に貢献した、八長(はっちょう)広志コーチ(45)の指導を受けて成長してきた。チームの元気印が、28年ぶりの甲子園へ導く。

沼津のグラウンドに、上杉の大きな声が響く。「声が自分の武器。チームを盛り上げたい」。後輩にも積極的にアドバイスを与えるなど、チームに欠かせない存在になっている。

同校OBの八長コーチは、3年前から指導にあたる。高校3年時には、4番、主将、三塁手として、チームをけん引。母校を初の夏の甲子園に導いた。「自分が経験した舞台に、何とか立たせてあげたい。夢じゃない。チャンスはある」と、指導に熱が入る。上杉も主軸を打ち、三塁を守る。共通点も多く、「偉大な方に指導していただき、ありがたい。多くのことを吸収したい」と貪欲だ。

だが、春先は理想と現実の差に苦しんだ。「本塁打への憧れが捨てきれず、バランスを崩してしまった」。春の大会後、八長コーチの指導を受け、状態が上向いてきた。「助言を受け、今は長打よりも打率を意識している」と上杉。八長コーチも「最も厳しく接してきた選手。活躍してくれれば、自分のことのようにうれしい」と期待を寄せる。

3年連続で初戦敗退しており、今年にかける思いは強い。上杉は「1試合4点以上取って、投手を援護する」。28年ぶりの頂点に向け、初戦の白星で勢いに乗る。【古地真隆】