日本学生野球協会は4日、都内で審査室会議を開き、高校9件の処分を決めた。今回は上級生による下級生へのいじめ、暴力が4件あった。

担当者は「オフになると増える傾向がある。目的意識がなくなるからなのか」と厳しい表情。また、指導者による暴力、暴言が5件あった。「きちんと生徒に対し説明できるかが大事。(前橋工のケースは)50回のティー打撃は私も普通にやっていたと思うが、生徒に『打撃フォームが崩れる』と言われた時、なぜやるのかを説明できないといけない」と話した。

厳重注意などの処分も含め、本年度は1000件に迫る勢いだという。「指導者の暴言、暴力は0にできるはず」と根絶を願っていた。

(1)A都道府県、B校

被害者のプライバシー保護のため、A、Bで伏せられた。部員のいじめ(部内)により、昨年11月6日から3カ月間の対外試合禁止。

昨年8~10月、2年生7人が7人(2年生4人、1年生3人)に対し、日常的に「鼻くそ」「ウソ」などと呼び、肩パンチなどの暴力を行った。12月には、ゴミ箱で拾った女性用下着を強制的に履かせた。じゃんけんで負けた被害者に他人の性器を握らせた。被害者の1人が監督に申し出て発覚した。

(2)佐野日大(栃木)

部員の暴力(部内)により、昨年11月27日から3カ月間の対外試合禁止。

昨年11月、2年生6人が1年生4人に対し、練習中に騒いでいた理由をごまかした、部内の規律を守っていないとして、背中や脇腹を蹴った。

(3)三潴(福岡)

部員の暴力(部内)により、昨年12月23日から3カ月間の対外試合禁止。

昨年12月、2年生8人が1年生7人に対し、上級生をやゆし、練習中も態度が悪いとして、腹や頭を蹴る、たたくなどした。主将が顧問に報告し、発覚した。

(4)岐阜(岐阜)

監督(48歳、教諭)が暴力、暴言(部内)、報告義務違反により、昨年10月23日から7カ月間の謹慎。

昨年9月ごろ、県教育委員会に匿名のメールが届き、学校が調査して発覚。練習でシート打撃を行った際、ランナーコーチの姿勢が教えたとおりではないと、臀部(でんぶ)を蹴った。また、練習試合中にバスターのサインで投ゴロ併殺となった別の部員に対し、打ち方を指導した後、木製バットのグリップで頭をたたいた。さらに、日常的に全部員24人に対し、同じミスをしたり、怠慢プレーで覇気がないと感じたりした時は「アホ」「バカ」「死ね」「お前らの野球はオナニーだ」といった暴言を長期にわたり吐いた。悪質であり、部員は追い詰められていると判断され、謹慎6カ月、プラス報告義務違反で1カ月が加算された。

(5)千城台(千葉)

部長(56歳、教諭)が暴力(部内)、報告義務違反により昨年12月19日から2カ月間の謹慎。

昨年9月の秋季大会1回戦中に2年生部員がバントを失敗した際、「集中しろ」と頬をたたいた。学期末のアンケートで発覚した。

(6)前橋工(群馬)

顧問(42歳、教諭)が暴力(部内)で1月7日から3カ月間の謹慎。

1月6日に室内でティー打撃50回を13セット課したが、2年生部員Aの組は交代が早かった。顧問が尋ねると、Aが「20から30回しかやってません。打撃フォームが崩れるので」と答えてきたので、胸ぐらをつかみ、離したところ、Aは防球ネットの縁に後頭部をぶつけた。頸椎(けいつい)捻挫で10日間の治療を要した。顧問はすぐに報告した。

(7)東大阪大柏原(大阪)

部員の暴力(部内)により、昨年12月27日から3カ月間の対外試合禁止。

2年生4人が1年生1人に対し、遅刻・欠席が多いとして「1年生35人全員、(髪の毛を)五厘にしろ」と連帯責任を要求。同1年生は他の1年生たちに要求を伝えた。翌日、五厘刈りにしてこなかった1年生14人に対し、2年生4人は頭をバットのグリップエンドでたたく、腹、臀部(でんぶ)を蹴るなどした。もう1人、同席していた2年生は暴力行為を止めなかった。昨年12月、匿名の電話が学校にかかり、調査で発覚した。

(8)福井商(福井)

監督(42歳、教諭)が暴力(部内)、報告義務違反で1月22日から2カ月間の謹慎。

1月18日に、ランニングの手を抜いているとして、2年生部員のあごをつかみながら注意した。さらに、続くメニューの説明をしている際、同部員が下を向いていたとして、頭を平手でたたいた。2日後に野球部の保護者から教頭に連絡があり、調査で発覚した。

(9)日大東北(福島)

監督(57歳、教諭)が暴力(部内)で1月29日から1カ月間の謹慎。

昨年末、トレーニング中に2年生部員が言われたとおりに腰を低くして行っていなかったとして、臀部(でんぶ)を蹴った。保護者から部長に体罰の有無を確認する電話があり、監督は認めた。翌日すぐの対応だったため、報告義務違反は問われなかった。