八戸学院野辺地西(青森)は「あの1球」をテーマに夏に挑む。

昨秋の県2回戦、3位で東北大会出場した東奥義塾に3-4のサヨナラ負け。昨年度から主力を担う細越楓斗主将(3年)は「試合後に帰りのバスで『あの1球の悔しさを忘れずに冬に臨もう』と話し合った。あの負けがあったから、さらに熱が入りました」。失策絡みの失点に、積雪の中でも守備力を強化。コロナ禍の影響により練習試合にも制限があったが“身内”との連戦が収穫だった。兄弟校の八戸学院光星や、北東北大学リーグの強豪・八戸学院大との試合を多く組み、接戦に持ち込めたことは大きな自信にもつながった。

細越主将が、県内トップ級の身体能力で攻守を引っ張る。横浜小時代には少年野球に熱中するだけでなく、100メートル走でも横浜町の新記録樹立。横浜中軟式野球部引退後には陸上ジャベリックスロー(やり投げの小中学生用)で当時の県新記録69メートルをマークしてジュニアオリンピックにも出場した。肩の強さを生かし、本職の遊撃だけでなく投手としても期待される。

守備の要としての自覚はたっぷりだ。「内野同士はもちろん、外野手とも声などで気を配っていかないといけない。東奥義塾戦も『守らなきゃ』という意識が強すぎてミスにつながった。野球は守備でも攻めるスポーツ」。50メートル5秒9のリードオフマンとしても「足を生かしたセーフティーバントは得意ですし、塁に出てかき回したい」と長所を得点につなげる。ソフトバンク今宮が理想の姿だ。

県独自の代替大会では初戦で弘前工と対戦する。八戸学院光星とも順当に勝ち進めば準決勝で激突。「甲子園がなくなっても、てっぺんを取る気持ちに変わりはない。光星に勝って驚かせたい」。守備も攻撃も「あの1球」を自分たちのものにし、決勝のウイニングボールもつかむ。【鎌田直秀】