「2020年甲子園高校野球交流試合」(10日開幕)に出場する加藤学園が9日、沼津市内の同校野球部グラウンドで常葉大橘と練習試合を行い、12-1で圧勝した。

先発のエース肥沼竣(3年)が、9回7安打1失点で完投。9奪三振と好投し、12日の交流試合・鹿児島城西戦に向けて弾みをつけた。

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肥沼が、甲子園前最後の実戦で順調な仕上がりぶりを見せた。立ち上がりは球が高めに浮き、4回まで毎回、先頭打者に安打を浴びた。だが、回を重ねるごとに球質が良くなり、8回には3者連続奪三振の快投。「先頭打者への入りは課題だが、走者を出しても落ち着いて投げられた」と胸を張った。

優勝を狙った先月の県独自大会では、飛龍との1回戦に先発したが、2-3で敗れた。落胆が大きく、甲子園へ意識を切り替えることに苦労した。先月末の平塚学園(神奈川)との練習試合では、先発して9回7失点。大舞台が近づく中、出口の見えないトンネルに迷い込んだ。

不調の要因を探す過程で、自身の姿勢を見つめ直した。投球の完璧さを追求しすぎ、プレーに窮屈さが生まれていた。「野球を始めたときは、ただ楽しいという思いだけだった。それが今では、野球を楽しめないでいました」。プレーする喜びを取り戻し、本来の力強い投球を復活させた。

12日には、待ちこがれていた甲子園でプレーする。3年間の集大成となる試合だ。「悔いを残さないようにしたい」と、静かに闘志を燃やした。野球の楽しさを、聖地のマウンドで表現する。【河合萌彦】

○…好調の打線は、13安打で12得点を挙げた。4番に座った植田颯斗外野手(2年)が、2安打3打点でチームをけん引。1点を追う4回に同点打。6回は無死一塁で、中越えに高校入学後初となるランニング本塁打を放った。「初球から甘い球をとらえることができ、チャンスで打ててよかった」と振り返った。甲子園での一戦に向け「緊張するとは思うが、しっかりと準備をして臨みたい」と意気込んだ。