背番号18の右腕が大役を果たした。東海大相模の先発マウンドに上がったのは、開幕2日前に登録変更されたばかりの石川永稀投手(3年)だった。

この日の朝、先発を伝えられ「やっと来たか」と意気込んで臨んだ。「相手は(エース左腕の)石田の対策をしていると記事で読んだので、自分がいけば驚く」とも思っていた。

最速144キロの直球を軸に、7回まで0を並べた。「3回まで」という門馬監督の予想を超える出来だった。昨秋は地区予選で1イニングを投げただけだが、大舞台で存分に力を発揮。1-0の8回に追い付かれたが「後ろに石田がいる。1球1球、つなぐ思いで投げました」と、8回6安打1失点にまとめた。9回からは、石田にリレー。計11回、2人で6安打1失点で制した。

スタンドには、石川の両親も駆け付けた。球場に来てから先発を知った父忠永さん(49)は「想像してなかった」と驚いた。登録変更後、LINE(ライン)で「18番、もらえた」と連絡がきたという。父からは「本当に良かったね」という返事の短いやりとりだったが、親子で喜びを分かち合った。

門馬監督は、石川の状態、表情、言葉などから、起用を決めた。ロースコアを見越し、余力のある石田をリリーフに残しておく狙いもあった。その狙い通り、延長の末に“東海大対決”制した。「(石川は)非常に良かった。出来すぎです」とたたえた。【古川真弥】