広島新庄の攻撃が始まる直前、アルプスには紺色のタオルがきれいに並んだ。

野球部の保護者会が、センバツに向けて作成したタオル。「広島新庄」の校名と、頭文字の「S」が大きくデザインされている。両端には「第93回 選抜高校野球大会出場記念」と入っている。

このタオルには、エールが込められていた。今までタオルを使った応援はしておらず、今大会が初めての試みとなった。新型コロナウイルスの影響を受けて球場で声を出せない状況が続くため、タオルを掲げることで気持ちを伝えようと、中国大会優勝後から準備を進めていたという。昨年6月から保護者会長を務める葛西清司さん(49)は「タオルを1000枚、初めての取り組みとして作りました。声援が出せないので、代わりに掲げています。みんなの記念になればいいなと思います」と話した。

保護者会では、寮が休みの期間の炊き出しや文化祭への参加など、代々受け継がれている行事があったが、昨年はコロナのため何もできなかった。「今までのことを継承しながらやっていきたいと思っていましたが、コロナの影響で全く違う1年になってしまいました」と振り返った。

広島らしさは、応援にもあった。保護者は手やメガホンではなく、代々譲り受けて使われている広島ならではの「しゃもじ」をたたくスタイル。大きくそろった音で選手を後押しし、延長12回のサヨナラ勝ちを引き寄せた。葛西会長は「昨年の交流戦は1試合だけでしたが、今年のセンバツは勝っていけば上を目指せる大会。1試合1試合、勝ち上がっていくと信じて応援します」と笑顔で話した。【保坂恭子】

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