名将最後の夏が始まった。今春センバツ優勝、春季県大会Vの東海大相模が、11得点を挙げて初戦を5回コールド発進。県内の公式戦連勝を「42」に伸ばした。

初回から“超機動力野球”を見せつけた。先頭の大塚瑠晏(るあん)主将(3年)が右前打で出塁。続く綛田(かせだ)小瑛内野手(3年)の初球に二盗を決めた。綛田は6球目を左翼線に流す適時二塁打。2人で1点を先制した。その後も、この回だけで計4盗塁を決めるなど、4得点。門馬敬治監督(51)は「今日は初戦ということで、足を使うことがテーマ。走ることがうちの一番の特徴でもあるし。大塚がいきなり出て、1球目から走れた。そこが大きかったかなと思います」と振り返った。

その後も機動力を生かした攻撃は続く。2回には一塁走者の綛田がゴロで二遊間を破った中前打の間に、3回には二塁走者の大塚が、二遊間に転がった内野安打の間に、それぞれ生還。「あそこの綛田の走塁、そして大塚が内野安打でかえると。この夏の大会で相模の野球をスタートできたかなと」と、指揮官も認める走塁だった。

選手には強い思いがある。門馬監督が大会開幕前に今夏限りでの退任を表明。大塚主将は驚きを隠せなかったが、気持ちを切り替えて「監督は甲子園で春夏連覇が出来ていないので、自分たちの代でプレゼントしようと言い合っています」と目標を設定。この日の試合は、そのための第1歩となった。

門馬監督は、この夏も冷静に、平常心で試合に臨む。「毎年、3年生は最後じゃないですか。そこに関してはある意味特別。だけど、僕は甲子園の決勝、神奈川の決勝、今日の初戦、全て同じ気持ちでいます。いつも通り1試合を全力で勝ちきるのが、僕はトーナメント、高校野球で大事なことだと思う」と、改めて一戦必勝を強調した。