<高校野球神奈川大会:上溝南14-4浅野>◇17日◇3回戦◇サーティーフォー相模原球場

浅野の主将・樅山勇貴捕手(3年)は試合で勝つために全力を尽くしたからこそ、苦々しい瞬間も潔く思い出してくれたのだろう。

1回に4点を先行した直後の2回の守備。1死満塁のピンチで、相手打者は捕邪飛を打ち上げた。「あれは…上がった、よし定位置入った、あれ? 定位置じゃない、後ろじゃん…っていう心境でした」。バックネット方向へ素早く移動し、捕球体勢に入ったが、打球は思ったより本塁側へ戻って捕球できず。直後に3点適時二塁打を許すなど一気に逆転を許した。そのまま相手の流れを止めることができなかった。

それでも、必死に声を出して仲間を鼓舞した。顔に土が付こうが気にしない。とにかく勝利だけを目指して、最後まで戦いきった。苦々しい結果も真正面から受け止めて「悔しい限りですね」。そのひと言が、真剣に野球に打ち込んできた証だ。

将来の夢は「工学系に進んで、ものつくりをやりたい。建築なら街づくり、ロボットもつくってみたい。いろんな憧れがあります」。具体的な方向性はこれからだが、夢の実現へ志望する進学先は国立大の東工大と決めている。「仲間と一緒に1つの目標、勝つことに向かって、いろいろと考えながらやれたことは今後にもつなげていけるかなと思っています」。高校野球を通じて学んだことは、万事に通じるはず。必ず、今後の長い人生の糧になる。【木下大輔】