明大中野は、徹底した右打ちだった。先発メンバーで左打者は、1番の前国藤だけ。2番から9番まで、ずらりと右打者が並んだ。
【1回】先頭で唯一の左打者、前国藤が死球を受けると、右打ちのオンパレードだった。
2番八幡、二ゴロ、一塁走者は二進。
3番阿保、二ゴロ、二塁走者三進。
4番加藤千、二ゴロが敵失を呼び三塁走者が生還。
5番加藤健、中堅右へのフライで3アウト。
進塁打のゴロを重ね、最後は敵失で1点先制した。
【2回】右打ちは続く。
6番河島、中堅右へ安打、二盗。
7番田中、四球で一、二塁。
8番上田、右翼線へ2点適時二塁打、3点目。
9番会田、右飛。
ここで唯一の左打者、前国藤に回るが、またも死球を受け、1死一、二塁。再び右打ちが始まった。
2番八幡、中堅右へ適時打で4点目。一、二塁。
3番阿保、四球で満塁。
4番加藤千、二ゴロで三塁走者生還し5点目。一塁走者は憤死で2死一、三塁。
5番加藤健、右前適時打で6点目。二盗で2死二、三塁。
6番河島、中飛。
2回までに6点を奪ったが、四死球を除く全ての打席が中堅から右方向だった。
岡本良雄監督(53)は「左投手の緩い、入ってくるボールを逆方向に打つ練習をしました。成果は出ました」と明かした。昭和鉄道の先発左腕、有我の特徴を分析。カーブマシンや打撃投手の変化球を引きつけ、逆方向へ打つ練習を重ねた結果だった。
「チーム打撃」という言葉があるが、これほど徹底できるのも珍しい。別の左腕が登板した3回以降は引っ張った当たりも出たが、強引なスイングは皆無。左の技巧派をどう攻略するか、お手本のような攻撃だった。結局、5回15安打16得点でコールド勝ちした。
2番打者の八幡優介内野手(3年)は「引っ張ることは考えずに、左投手の変化球を打とうと思いました。去年の先輩たちは、左投手に負けている。悔しさを見てましたので、対策も意欲的にできました」と胸を張った。