2戦連続の「逆転決着」で春の東北王者に王手だ! 今春センバツ出場の聖光学院(福島1位)が、弘前学院聖愛(青森2位)に5-3で逆転勝ち。試合時間2時間58分に及ぶ延長戦を制して、優勝した18年以来4年ぶりにファイナル進出を果たした。3-3の同点で迎えた12回2死一、二塁、狩野泰輝外野手(3年)が執念の決勝適時打をマーク。今大会初スタメン起用にバットで応えた。

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応援をみなぎる力に変え、狩野がバットに込めた。「自分の底力が出たと思います。応援のエネルギーが伝わってきた」。スタンドから後押しするメガホンのたたく音、ベンチから鼓舞する仲間の声。すべての期待に一振りで応え、一塁上で力強く何度もこぶしを握り、決勝打の喜びをかみしめた。

執念が最後は勝った。3-3の同点で迎えた延長12回2死一、二塁。「ここで自分に(打席が)回ってきた。自分の力が試されている」。狩野は腹をくくり相手投手と向かい合った。カウント2ボールからの3球目。内角直球を振り抜く。打球は遊撃手のグラブをはじき、ボールが後方へと転々とする間に二塁走者が激走。勝ち越しのホームを踏んだ。「チームを負けさしたくない。その思いだけでした」。今大会初のスタメン起用。背番号「18」がここぞの勝負強さを示し、2時間58分の死闘にけりをつけた。

2戦連続となる逆転勝ち。10日の秋田商戦では最大4点ビハインドからの9回サヨナラ勝ち。逆境に立たされても終盤に試合をひっくり返す。この試合も、2度追いついて延長戦をものにした。狩野は聖光の強さをこう評した。「我慢強さだと思います。負けそうな展開であっても相手に爪痕を残してやろうという、向かっていく強い気持ちが、集中力にもつながっている」。

窮地で踏ん張った。延長11回1死満塁と絶体絶命のピンチに三好元気(2年)のビッグプレーが飛び出した。右飛を捕球後、素早くホームにワンバウンド送球。間一髪で三走をアウトにし、サヨナラ負けの危機を乗り越えた。「自分は延長戦とかにすごく燃える。集中できていたと思います」と胸を張った。

18年以来4年ぶりとなる春の東北頂点まで、あと1つ。今日13日、東北(宮城2位)との最終決戦に臨む。狩野は「悔いのないように、全力で一瞬一瞬をやり切りたい」と力を込めた。完全燃焼でみちのく「春の陣」を完結させる。【佐藤究】