「カナノウ旋風」再び-。18年夏の甲子園準優勝校、金足農が快勝発進した。平成に5-0で勝利。先発したエース半田嘉那斗(3年)が7回4安打無失点の好投。力のある真っすぐを勝負球に、2回の3者連続を含む9奪三振もマークした。偉大なOBである日本ハム吉田輝星投手(21)に憧れる背番号1が堂々のマウンドさばきを披露し、まずは夏1勝をつかんだ。

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半田が甲子園への第1歩を踏み出した。4点リードで迎えた7回2死二塁。後続を一飛に打ち取り、この回でマウンドを後にした。計95球で相手打線を散発4安打。スコアボードに「0」を並べた。「今日勝てたことは大きい。目標は甲子園で勝つことです」。夏初戦突破に安堵(あんど)の表情を見せ、気持ちを引き締めた。

初回は球が上ずり、3回までは毎回得点圏に走者を背負う苦しい立ち上がり。「緊張から制球にばらつきがあった」。2回には無死一塁で、バントを自ら野選とし、ピンチを広げた。ここでベンチから堀井三次(3年)が伝令に走った。半田は「(堀井に)『背中をたたいてくれ』と言いました」。背中に2、3回“喝”を受け、気持ちが吹っ切れた。後続を3者連続三振。変化球でカウントを稼ぎ、最後はスッと伸び上がる直球で見逃し、空振り、空振り三振に仕留めた。「背中をたたいてもらったことでほぐれた。(中盤)以降は自分の投球ができた」と振り返った。

偉大なOBである日本ハム吉田輝星投手は憧れの存在だ。18年夏。吉田を擁し甲子園準優勝した記憶は、当時中2だった半田の脳裏にも鮮明に残っている。「テレビでずっと見ていた。吉田さんの迫力ある投球に憧れている」。日本中が熱狂した「カナノウ旋風」から4年。伝統あるエースナンバーを半田が背負い、夢舞台を目指す夏が幕を開けた。「偉大な先輩方がつけてきた番号をいただいた。1球1球に気持ちを伝えて、投げていきたい」。4年ぶり秋田の夏頂点へ、全身全霊で右腕を振る。【佐藤究】