能代松陽が大曲工に5-1で逆転勝ちし、4年ぶりに4強入りを果たした。1年春からスタメンの1番大高有生内野手(2年)が、4回の逆転打を含む2安打2打点で1四球1盗塁と存在感を発揮。先発の最速144キロ右腕、三浦凌輔投手(3年)は10安打を浴びながらも、要所を締めて1失点完投した。

大高が一塁側応援席を沸かせた。1点を追う4回1死二、三塁。カウントが1ボールとなったところで、相手投手が先発・長淵星河(せいが、3年)から本格派の石山伶偉(れい、3年)にスイッチ。「速い球を強く振るのではなく、ミートする練習をしてきたので、振り遅れなかったと思う」。2ボールとなり、3球目の真ん中低め142キロ直球を右前へはじき返した。1点差をひっくり返し、黄色とピンク色のメガホンを使った大応援が、一塁上の大高を包んだ。

能代松陽は相手先発を石山で想定していたという。145キロ前後の速球対策として、打撃マシンの体感速度を150キロ近くに設定するなど準備を重ねた。「試合前から石山投手のイメージはできていたので、(投手交代は)うれしかったです」。打席途中でも動揺はなく、むしろ歓迎だった。

8年ぶりの決勝進出をかけて19日の準決勝では秋田中央と激突する。「次の試合も苦しい展開になると思うが、チャンスで1本出せるようにしたい」。巧打のリードオフマンが能代松陽打線をけん引する。【山田愛斗】

大曲工・石山伶偉投手(3年=2番手で登板し3失点)「調子は良くも悪くもなく、いつも通り。(進路は)迷っている部分があるが、プロを目指して頑張りたい」