十勝地区では、帯広緑陽が5-2で幕別清陵・池田・広尾を下し、10年ぶり2度目の秋季全道大会出場に王手をかけた。

4番の田中天磨捕手(1年)が、公式戦初出場初打席から2打席連続適時打を放つなど4打数3安打3打点とチームをけん引。スノーボード、スキー、スピードスケートと、ウインタースポーツも愛する男が“本命”の野球で結果を出した。18日の代表決定戦では18年連続秋季全道出場を目指す白樺学園と対戦する。

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1年生4番の田中が、公式戦デビューをド派手に飾った。0-1と先制を許した直後の1回裏1死一、二塁。2球目の直球を右前にはじき返す適時打で、すぐに試合を振り出しに戻す。追加点がほしい2-1の3回裏2死二塁でも二遊間を割る適時打を放ち、チームの期待に応えた。「緊張はありませんでした。2年生の足を引っ張らないプレーができて良かった」と、初々しく顔をほころばせた。

小学校時代は2年から始めた野球のほかに、スピードスケート、スキーに水泳、中学3年間はスノーボードにも取り組んだ。「水泳のクロールで肩の筋肉が強くなりました。スキーやスノボは下半身のバランスが良くなって、バッティングに生きています」という。杉崎健(たつる)監督(52)は「(適時打を)2本続けて打ってくれて、本当に頼もしい」と、マルチアスリートな主砲の活躍に目を細めた。

もちろん本命は野球だ。父の大洋(たけひろ)さん(46)は、帯広南商が95年夏に初めて北大会決勝に駒を進めた時の控え投手だった。田中が小5のころ、父は自宅の庭に打撃用ネットを設置。野球の英才教育を施してきた。「あまりに打てなくて『自分は野球に向いていない』とやめようと思った時に、父の指導で打てるようになりました」と田中は当時を振り返る。

「父があと1勝で届かなかった甲子園に行きたい」(田中)。高校2戦目となる次戦の代表決定戦でも主砲の仕事を全うし、チームを次のステージに誘う。