昨秋東北大会4強の聖光学院が、福島商に8-0で7回コールド勝ちした。杉山由朗捕手(3年)が「1番捕手」で出場し、3安打2打点と積極的な走塁で決勝進出と県大会(5月13日開幕)出場に導いた。福島東は学法福島との「県8強対決」を6-5で逆転勝ち。原知史内野手(3年)が9回2死で逆転2点適時打を放ち、エース右腕・今野晃汰(3年)が3者凡退で試合を締めた。

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杉山がバットと足でリードオフマンの仕事を果たした。1回、中前打で出塁。1死二塁で迎えた3番三好元気外野手(3年)の初球だった。「ショートバウンドをはじいたら絶対にいってやろう」と一瞬の隙を見逃さず、暴投で三塁へ。三好の四球後、樽川遥人内野手(3年)の4球目、三好の二盗阻止で捕手が悪送球。悠々と先制のホームを踏んだ。

3回は中前打。4回2死一、二塁の場面では1ボールから外角スライダーを左中間に運び、2点適時三塁打。「しつこくインコースを攻められていたので(内を)張っていたが、うまく変化球に対応できた」。チームは2、3回が無得点だっただけに悪いムードを払拭した。6回は四球。斎藤智也監督(59)は「今日は初回から勢いのある攻撃をしたいと思っていた。杉山をトップに置いたらどうなるかなと。全出塁だったね」と目を細めた。

守備でも存在感を見せた。相手に二塁を踏ませず、安斎叶悟投手(3年)を6回1安打無失点に導いた。23日福島西戦後に福島工-福島商を観戦し、飛球が多いと分析。この日は安斎の持ち味である打たせて取る投球をリードし、アウト18個のうち15個を凡打に抑えた。「相手打者の特徴をしっかり見て、安斎がしっかり投げてくれた」と、2人で試合をコントロールした。

昨夏の甲子園は背番号「12」で4強を経験。闘志あふれる先輩の姿を身近で見てきた。「一番は、山浅(龍之介)さんのたたずまい。堂々としているし、投手をリードしている姿を見て、絶対に学ばないといけないし、生かさないといけない」。高卒でプロ入りを果たした先輩から受け継いだ背番号「2」。攻守で引っ張る姿も継承する。【相沢孔志】

○…福島東が土壇場で試合をひっくり返した。3点を追う9回1死一塁から3連打で1点差とし、原が2死一、二塁で外角低め直球を流し打ち。逆転の2点適時二塁打となり、右拳を握った。「逆転のヒットだったので何とかランナーがかえってほしい思いで走っていた。逆転勝利が見えてうれしかった」と喜んだ。

9回は、8回から救援登板のエース今野晃が3者凡退に抑え、試合終了。「4番右翼」で先発出場した横山侑征外野手(3年)が2回に負傷交代するアクシデントがあった中、劇的な逆転勝利を挙げた。県北支部予選決勝は2試合連続コールド勝ちの聖光学院と激突。渡辺一広監督(55)は「福島東がどれくらい力があるのかを測れる、すごくいい相手。大会が始まる前に『勝って決勝で当たろう』と話していたので、楽しみでしょうがない」と笑顔だった。