甲子園経験校がそろって8強入りした。21年夏出場の日大東北は、福島成蹊に11-0の5回コールド。

兄堀米翔太捕手、弟涼太投手(ともに3年)の双子バッテリーが4回を2安打無失点に抑えて試合をつくり、打線は10安打11得点と投打がかみ合った。06年夏出場の光南は、東日本国際大昌平に4-3のサヨナラ勝ち。昨夏甲子園4強の聖光学院は、田村に6-0と快勝した。

1年生秋に公式戦で初めてバッテリーを組んでからこの日でちょうど600日。兄翔太は、弟涼太の真っすぐの成長に目を見張る。「(涼太は)2年春は変化球を多く練習していたが、涼太的にいまいちだったみたいで…。冬はストレートの質や球速アップを意識していた。真っすぐの成長で変化球も生きている」。この日はストレート、カットボールのキレがよく、「自信を持って投げ切れていた」と高評価。相手に的を絞らせず、自身のリードにも好感触を得た。

涼太は3回2死までノーヒット投球。9人目の打者も3球で2ストライクまで追い込んだ。だが4球目は兄の出したサインに首を振り、チェンジアップを選択。翔太は「インコースの真っすぐを要求したんですけど、チェンジアップを試したかったみたいです」。投じた高めのチェンジアップは左前にはじき返されたが、涼太は「真っすぐで攻めるべきだったが、悪くはなかったと思います」と手応え。新球種も試すことができた実りある春1勝となった。

甲子園で双子バッテリー実現へ-。涼太は21年夏の甲子園1回戦で、近江(滋賀)を相手に2回無死一塁から登板。5回を投げて4失点だった。翔太はその姿をベンチで見守ることしかできなかった。「今度は僕が、あの場所で涼太を引っ張ってあげたい」。2年ぶりの夏制覇に向け、まずは今春の東北大会出場が目標だ。翔太は「1戦1戦戦い抜く。目の前の相手にしっかり向かっていく」と力を込めた。1戦必勝で春を駆け上がる。【濱本神威】

 

○…光南は劇的な幕切れだった。3-3で迎えた9回、2死一塁から安打、申告敬遠で満塁とすると、最後は相手投手の暴投で三塁走者の芳賀亮太内野手(2年)が生還しサヨナラ勝ち。笠原颯主将(3年)は「9回のチームの雰囲気が今まで以上に良かった。それが今日の結果につながりました」と振り返った。1回戦の逆転勝利に続く劇的勝利。この勢いに乗り、16年以来7年ぶりの春の頂点を目指す。

 

○…聖光学院はエース右腕・北沢慶汰(3年)が7回4安打無失点。県大会初戦に「緊張した」と言うが、3回までに43球を投げ散発3安打。「4回、真っすぐで三振を取ったときに調子がちょっと戻ったと思いました」。4~7回までは37球。終わってみれば10個の三振を奪う快投でチームに勢いをもたらした。次戦に向けて北沢は「1戦1戦全力を尽くして頑張っていきたい」と意気込んだ。