今春の大阪大会で初優勝を飾り、近畿大会で準優勝を果たした金光大阪は、“リサールウェポン(=最終兵器)”がチームを率いる。その正体は主将の佐々木駿弥内野手(3年)。主将就任時の昨秋から声出しを張り切った真面目な性格で、試合ではベンチから響くハスキーボイスが印象的だ。

6人兄弟の末っ子。兄3人は金光大阪のOBだという。次兄の将太内野手はJR東海でプレーし、三兄の慶矢内野手は愛知学院大の硬式野球部に所属する。3人とも甲子園への切符をつかめないまま卒業。6人兄弟の末っ子で家族から「甘えん坊」とかわいがられてきた四男の駿弥内野手は、家族の分まで夢を背負っている。

昨春のセンバツに遊撃手として出場。佐々木家の次の夢は夏の甲子園出場だ。「(大学4年の)三兄がこの前の試合で負けた瞬間に『次はおまえやな』と。それは保護者や自分の知らない人からも言われた。『佐々木家の最後』と言われてきました」。グラブには「Revenge(リベンジ)」と「S.Family」が刻まれている。

主将として練習する姿を見れば、とても末っ子とは思えない。金光大阪はメンバーとメンバー外の選手の統一性、意思疎通を重視するチームカラー。横井一裕監督(48)からは「おまえはメンバー(内)だけのキャプテンなのか。1年生にも声をかけて、全体を見ないと」と指摘されたこともある。

大阪桐蔭を破った5月の大阪大会優勝時には、試合後の選手入場口に優勝旗を持つ佐々木の姿があった。優勝旗を手に入れるまでの道のりを「(仲間に)どれだけ声をかけていくか」と振り返った。家族の夢を背負い、恩師の教えを胸に秘め-。春夏連続の大阪制覇を目指す夏が始まる。【中島麗】