27日、夏の甲子園の東北6県代表が出そろった。日刊スポーツ東北版では「甲子園、この選手に注目!」と題し、各県の注目選手を紹介する。第1回は聖光学院主将の高中一樹内野手(3年)。高中はレギュラーとして昨夏の甲子園4強に貢献。23年ドラフト候補にも挙がる逸材だ。夏の福島大会では13打数8安打12打点の6割1分5厘をマーク。シュアな打撃、堅い守備に加え、明るい笑顔が持ち味の高いキャプテンシーでチームを2年連続18度目の甲子園出場に導いた。

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高中は小学1年から地元愛知のクラブチームで野球を始めた。聖光学院では1年秋から背番号「4」でベンチ入り。昨夏の甲子園では5割2分9厘と高打率をマーク。初戦の日大三戦(西東京)で放った本塁打が逆転2ランとなるなど、チーム最高の4強に大きく貢献。安定感抜群の守備でプロのスカウトからも高い評価を得た。

「悔しさ」をバネにつかんだ甲子園だ。屈辱を味わった忘れられない試合がある。春の東北大会、日大山形戦。5-3で迎えた延長10回にサヨナラ3ランを浴び、初戦で敗退した。「今までで1番悔しい試合だった」。こんな思いはもう二度としたくないと誓ったナインはあいさつの徹底や寮生活など日常生活から見直し、練習に汗を流した。そうした意識改革が結実、甲子園出場につながった。

「昨夏とは全く違ったプレッシャーを感じ、どうしていいかわからず不安しかなかった」。新チーム始動後は主将に就任。だが、葛藤の連続だった。冬には練習方針をめぐってチームがまとまらず「自分がチームを引っ張っていかなくては…」と、焦りとプレッシャーで押しつぶされそうになった。「(昨夏は)先輩がいたので、自分のことだけやれば良かった」とその偉大さを改めて実感。だが、次、次と気持ちを切り替え、笑顔を絶やさない高中に誘発され、ベンチ内はどんな場面でも活気にあふれ、勝利を引き寄せる。斎藤智也監督も「高中の明るい雰囲気に仲間も相当パワーをもらっている。たいしたもんだ」と厚い信頼を寄せている。

「ここからがスタート」。多くの困難を乗り越えてきた聖光学院ナインは、“上下一心″を掲げ、結束力を武器に勝ち上がってきた。スタンドとベンチが一体となり、1戦1戦を戦い抜き、全員で勝ち取った甲子園。高中は「目標は“日本一″。ようやくスタートラインに立った」と頂点を見据える。群を抜くキャプテンシーと、走攻守3拍子がそろった主将を筆頭に、2年連続で東北に優勝旗を持ち帰るべく、聖光学院の挑戦が始まる。

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