東海大菅生の1年生左腕上原慎之輔投手が、公式戦初登板で6回参考ながら完全試合を達成した。5者連続三振を含む10三振を奪う投球だった。

期待の1年生が、ベールを脱いだ。夏の西東京大会ではメンバー外だったが、4月の春の都大会後からAチームに同行。背番号「14」で迎えた初の公式戦マウンドは、3者連続三振を奪う立ち上がりだった。130キロ後半のノビのある直球とスライダー、チェンジアップを駆使し、2回1死から3回まで5者連続三振。3回までのアウト9つのうち8つを三振で取った。額に大粒の汗を浮かべながら「三振は意識してなくて、打たせるってイメージで投げました」と完全投球を振り返った。

偉大な大エースの教えも胸に秘める。2学年上にはエースとして今春センバツ8強、今秋ドラフト候補に挙がる最速151キロ右腕の日当(ひなた)直喜投手(3年)がいる。上原がAチームに同行した約3カ月間、練習や練習試合を共にしてきた。日当から「ピッチャーはマウンド上がったときには『打てるもんなら打ってみろ』ぐらいの気持ちで投げろ」と教えを受け、その言葉通りに81球を全力で投げこんだ。

マウンド同様、トレーニングにも全力を注ぐ。小学4年から、元マリナーズのイチロー氏(49)や元中日山本昌氏(58)も取り組む「初動負荷トレーニング」を継続する。特殊なマシンを用い、筋肉と神経の協調性を高め、筋肉の弾力性を高めることでパワーが発揮されケガも予防されるトレーニングで、現在は毎週月曜日に専用のトレーニング施設に通う。「股関節周りを柔らかくすることを意識してます」と向上心を高く持ち続ける。

若林弘泰監督(57)は「期待の投手ですね」と喜びつつ「でも、自分のとこのグラウンド(試合会場が東海大菅生グラウンド)なので、このくらい投げられて当たり前」と求めるレベルも高い。試合は6回裏にコールドが決まり「もっと投げたかったと思いました」と16歳らしい笑顔も見せた。【黒須亮】

◆上原慎之輔(うえはら・しんのすけ)2007年(平19)4月18日、埼玉県富士見市生まれ。南畑小1年からジュニアサンデーで投手として野球を始める。富士見東中では浦和ボーイズに所属。好きな野球選手はヤクルト高橋奎二。左投げ左打ち。177センチ・75キロ。