仲良し投手陣でセンバツ切符をつかみ取る! 秋の県大会で初優勝を果たし、宮城1位で春のセンバツ大会出場がかかる東北大会(16日~秋田)に乗り込む聖和学園は、優勝投手・千葉桜太、エース斎藤佑樹を軸に、今夏を経験した斎藤悠大、松下榮太(全員2年)の4投手で優勝を勝ち取った。朝のトレーニングや昼食など、とにかく一緒にいることが多い投手陣。この結束力が勝利の鍵を握っている。【取材・構成 濱本神威】

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秋の県大会でひときわ輝いたのが187センチ右腕・千葉だ。「中学生の頃から肘を痛めていて、中学3年の冬にそれが肩にいって…。入学してから腰にも痛みが出るようになった」。じっくり治すと決め、1年間ノースローを貫き、けがと向き合った。

8月19日、中部地区予選1回戦東北戦で公式戦デビュー。試合は0-7のコールド負けも、千葉は3回1安打無失点。「東北高校さんを抑えられた。外角低めの真っすぐに自信が持てました」。秋はアウトローの直球を軸に4試合に登板。24回を14安打1失点の防御率0・38をマーク。苦しかった1年を経て、優勝の立役者となった。

休日はカフェや古着屋を訪れ、心身ともにリフレッシュ。特に斎藤佑とよく出かけるという。「服を見に行ったり、カフェやお風呂、サウナに行ったり…」。お気に入りのカフェでは、テスト勉強や野球の研究をする。自分たちの投球の動画を見ながら、「伸びがある真っすぐや曲がりが大きいスライダー、小さくて回転数の多いスライダーがどうやったらできるのかなって」。こうした日々の研究が優勝に結びついた。

「『絶対に行く』と決めていた」。入学時から、自分たちの代でセンバツに行くことを目標に掲げていた。千葉は東北大会に向け、「県大会は勝ちましたが、まだ何も決まっていない。センバツに行ってからチーム全員でうれしがりたい」。目標はセンバツ切符ただ1つ。1戦必勝で目標を達成する。

エース斎藤佑はゲームメークにたけたサイドスロー右腕だ。元々は内野手だったが、中3夏からアンダースローに挑戦。高校から本格的に投手となり、現在のサイドスローとなった。持ち味は「淡々と投げるところ。1人1人打ち取ってチームの攻撃につなげられる」。リリーフ登板した県大会2回戦、準決勝では計6イニングを無安打に抑え、勝利に貢献した。

元日本ハム斎藤佑樹氏(35)と同姓同名。06年、早実が甲子園初優勝した翌年の07年に生まれたが、由来は関係ないという。「佑樹」の「『佑』は人を助ける、『樹』は樹木のように大きく育つように」という意味が込められており「自分の結果よりチームを勝たせられる投手になりたい」と願う。東北大会に向け「自分たちの野球をやって、1戦1戦勝っていく。春のセンバツ切符を手に入れたい」と意気込んだ。

斎藤悠は、制球力が持ち味の180センチ左腕。春夏の大会も経験しており、ともに県初戦で先発。春は9回完封、夏は7回1失点と好投した。秋は左ひじのけがのため、本調子ではなかったが、計7回を投げ2失点。八島知晴監督も「勝ち上がっていくためには斎藤悠大の存在が必要」と頼りにしている。投手陣の間では恋愛リアリティー番組『今日、好きになりました。』が流行。かわいい子の話が話題に上がるというが、その一方、朝練では球速や体重の増加量など競い合ってきた。斎藤悠は「チームが勝つことが最優先。その中で自分が貢献できればいい」。自分の役割に徹し、高め合った成果を発揮する。

技巧派の松下は、カーブ、スライダー、チェンジアップ、シュートを操り、打たせて取る投球が持ち味。公式戦初登板となった夏の2回戦では5回無失点。しかし、秋は2回戦富谷戦で「少し緊張していた」と1回3失点。東北大会に向け「投げさせてもらえるなら、自分の持ち味をしっかり生かしていきたい」と奮起を誓った。投手陣は4人それぞれタイプが違う。松下は「(千葉)桜太は真っすぐが速い。(斎藤)佑樹や自分は打たせて取る投手。(斎藤)悠大は左で変化球も真っすぐもいい。全員、相手に的を絞らせないところが強み」と分析した。