豊川(愛知・東海)が延長11回、逆転サヨナラ勝ちを収めた。

大会注目打者のモイセエフ・ニキータ外野手(2年)が実力の片りんを示した。

2打席凡退で迎えた6回の第3打席、それまでついていけなかったスライダーが浮いてきたところを逃さず、右翼線に痛烈な二塁打。0-4から反撃の合図となる1点を奪った。

「なかなか点を取れず、人も多くて、県大会と空気が違った。こういうところで野球をやるのは難しいなと感じていました。前の打席までスライダーに合っていなかったので、絶対にまた来ると思っていました」。3番打者の一打から打線がつながり、1点差まで迫った。

2点を追う9回。1点を返し、なお1死一、三塁ではしぶとくバットを出して右犠飛。「同点ではなく、自分で決めてやろうという強い気持ちでした。最低限の仕事ができてよかったです」。延長戦に持ち込む土壇場の一振りだった。

両親がロシア出身。幼少から父と同じ空手を習っていたが、兄のあとを追って小4から野球の道へ。家ではロシア語も話すが、日本語のネーティブだ。高校からのプロ入りを目指し、順調に歩んでいる。

劣勢の展開から3度も同点に追いつき、最後は逆転サヨナラ。驚異の粘り腰で道をつないだ。次戦は青森山田と星稜(石川)の勝者が相手。モイセエフは「勝てたのでまだ試合ができる。次もレベルが高い投手がいるので、1打席目から対応できるようにしたいです」と、ほおを緩めた。

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