作新学院(関東・栃木)が、終盤、同点に追い付き、途中出場の菅谷峻汰外野手(1年)のソロ本塁打で勝ち越しに成功。関東第一(東京)を破り、初の決勝進出を果たした。

6回に同点に追い付き、迎えた7回。2回の守備から出場していた菅谷がカウント1ストライクから、真ん中に抜けたチェンジアップをコンパクトに振り抜くと、ライナー性の打球はグングンと伸び右翼スタンドへ飛び込んだ。「うれしいという言葉しか出ません」。これが高校通算初アーチ。「(神宮球場は)すごい選手たちがベースを回っているのを見ていたので、自分でもビックリ。頭の中が真っ白になりました」。普段は長打より、内野手の間を抜ける打球が得意。思いがけない1本に、ダイヤモンドを全力疾走した。「どんなスピードで走っていいかわからなくて…」と、苦笑い。初めて手にするホームランボールを手に「最高の景色でした!」と、やっと笑みがこぼれた。

悔しさをバットに込めた。初戦の北海戦、同点で迎えた9回2死一塁、サヨナラのチャンスで一ゴロに倒れ、試合は延長タイブレークに。「あそこで1本打っていれば。悔しい気持ちが大きかった」。この試合で延長10回サヨナラ打を打ったのは、同級生の小川亜怜外野手だった。「同じ外野手で。僕にとってはライバル」。喜ぶチームメートを前に、悔しさが増した。初戦から2日、黙々とバットを振り、チャンスの場面に備えた。

7回、打席に向かう菅谷に小川亜が声をかけてくれた。「お前なら大丈夫だ」。ライバルに力をもらって向かった打席で、最高の結果を出した。「小川が勇気付けてくれた。1打席に全てをかけようと思った」と感謝した。

栃木・芳賀町出身。「地元の仲間たちと一緒に羽ばたきたい」と、作新学院への進学を決めた。関東大会、そして神宮大会制覇へ。チームメートと共に羽ばたくその時まで、あと1つだ。