第96回選抜高校野球大会(来年3月18日開幕、甲子園)の21世紀枠の地区候補9校が8日、発表された。近畿地区からは田辺(和歌山)が選出。過疎化が進む地域の進学校で、部員19人と恵まれない環境でも強化を進め、今秋は智弁和歌山を初めて下すなどの快進撃だった。北海道4強の別海(べつかい)、ともに県4強に入った伝統進学校の水戸一(茨城)鶴丸(鹿児島)も選ばれた。来年1月26日の選考委員会で出場2校が決まる。

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今秋、県内の甲子園常連校を連破した県立進学校の田辺に“近畿代表”の吉報が届いた。田中格監督(51)は「まず、ほっとしました。野球経験者の女子マネジャー2人がトスで投げてくれたり、3年生は受験勉強の合間に来てくれたり、コーチも肩が上がらないほど投げてくれる」と感謝。近畿大会直前の練習で1日200球を投じた川辺悠月(ゆうき)コーチ(24)は「この子たちのためなら、肩がつぶれてもいいです」と笑顔で明かした。

今秋の和歌山予選で市和歌山と智弁和歌山に完勝。智弁和歌山戦は1点ビハインドの7回、4番山本陣世(じんせい)内野手(2年)が逆転満塁弾を放っての劇的勝利だった。県準優勝で52年ぶりに出場した近畿大会は京都国際に延長10回タイブレークで2-3と善戦。地域の過疎化も進む中、推薦理由として選手18人、マネジャー4人で創意工夫を凝らし、今秋に好成績を残したことが挙げられた。

3番で主将の山本結翔(ゆいと)内野手(2年)は「平日4時間の練習で半分以上は素振り、マシン、ティー打撃。マンツーマンで打撃指導も受けられます」と少数部員の“特権”を明かす。甲子園では1947年(昭22)春、48年春と2年連続初戦突破した超伝統校。春76年ぶりを目指し、冬の鍛錬に臨む。【中島麗】