<高校野球・大分国体:報徳学園6-4駒大岩見沢>◇2日目◇28日◇大洲総合運動公園硬式野球場

 国体1勝は後輩に託す-。甲子園16強の駒大岩見沢(北海道)が高校野球硬式1回戦で報徳学園(兵庫)と対戦し、4-6で惜敗した。4番及川雄貴(3年)の右越え3ランなどで4点をリードしたが、終盤追いつかれ、7回に報徳学園のプロ注目左腕、近田怜王(れお=3年)に勝ち越し左越えソロを浴び逆転負けを喫した。3年生にとってこれで高校野球は終わったが、今度は新チームが1日に初戦を迎える秋季全道(札幌円山ほか)で道勢55年ぶりの4季連続甲子園を目指す。

 良くも悪くも思い出いっぱいの秋となった。2回に6番佐藤秀輝(3年)の左越えソロで同点にすると、3回には、国体で気合を入れるため夏のように再び丸刈りに戻した主砲及川が右越え3ランを放ち、夏8強の報徳から4点を奪った。「序盤は本当にいいゲームだった」と高橋真次監督(34)も笑顔で振り返る幸先のいいスタートを切った。

 だが、雨の中先発したエース板木勇幸(3年)の制球が定まらない。4回無死から連打で一、二塁とされると、報徳学園1番井村の頭部に当てる死球で満塁。続く2番中浜に右前打を浴び1点を失うと、3番西郷の一塁ゴロを処理した佐藤秀が本塁への送球を一塁走者の頭部に当てる悪送球の間に、一気に同点に追いつかれるドタバタ劇となった。

 ヒグマの最後はレオに食われてしまった。「最高の場面で打てるのがやっぱりスターなんだろうなぁ」と及川。4回から登板したプロ注目の報徳エース近田の前に打線は沈黙。逆に7回裏、3番手松井が近田に勝ち越し本塁打を浴び、それ以降、流れを呼び戻すことはできなかった。

 それでも板木は「甲子園を盛り上げた強豪と一緒に戦えたのがうれしかった」と胸を張る。松本駿主将(3年)も「駒岩の名前を全国に示すことができた。それだけでも大きい」と笑顔だった。夏2勝も、最後は智弁和歌山に3-15と大敗した。それだけに、高橋監督も「レベルの高い相手に小差で終えられたのは3年生の頑張り」と称賛した。

 1日に秋季全道の初戦が控えるため、3年生16人でチームを編成。この試合で3年生の公式戦は終了した。楽天田中らを擁して旋風を起こした05年の駒大苫小牧以来、道勢3年ぶりの国体Vはならなかった。それでも松本は「日本一の仲間と最後までいい野球ができた。満足です」と笑みを浮かべた。55年ぶり4季連続甲子園の夢は後輩に託す。【永野高輔】