<高校野球・秋季東北大会:利府8-2日大東北>◇2日目◇11日◇2回戦

 初出場の利府(宮城)が8-2で日大東北(福島)を下し、大会初白星を挙げベスト8に進出した。打線が10安打8得点で効率の良い攻撃を見せ、2番手の高橋拳嗣投手(2年)が無失点リリーフ。春夏秋を通じ、初めて県王者となった期待の公立校が、活性化を進める地元・利府町の熱い支援も受け、初の甲子園へ勢いに乗っている。

 高橋が最後の打者を三ゴロに仕留めると、スタンドの青いメガホンが一斉に揺れた。2回に4連打などで4点を先制。守りのミスもあり中盤に2点を返されたが、6回1死二塁から登板した高橋が5安打無失点と好救援し、悪い流れを断ち切った。県大会決勝では仙台育英を破り、春夏秋通じて初の県制覇。東北大会でも初戦を快勝で飾り、高橋は「やっぱり、勢いはありますね」と笑った。

 陸上部やサッカー部など運動部が盛んな公立校。野球部も学校関係者だけでなく、スポーツによる活性化を狙う地元・利府町の期待も背負う。ナインは県大会後、学校近くにある町営の利府球場を借りて練習。同球場を本拠地に、楽天2軍の誘致活動を進める鈴木勝雄町長(64)がこの日、球場で応援した。保護者会会長の吉岡伸二郎さん(47)が今後の球場使用をお願いすると「楽天が来ても、試合は1年に20試合ぐらい。今後も使ってほしい」と話したという。

 大会前には、利府町内の3校の中学校から、生徒が折った千羽鶴が贈られた。2回に先制適時二塁打を放った加藤秀太左翼手(2年)も「いろんな人たちが支えてくれるので、中途半端なプレーはできません」。創部25年目で、春夏を通じ初の甲子園進出を決めることが、何よりの恩返しとなる。【由本裕貴】