<高校野球・秋季東北大会:光星学院6-3花巻東>◇4日目◇13日◇名取スポーツパーク愛島球場◇準決勝

 光星学院(青森)が来春センバツ出場を当確にした。光星学院は花巻東(岩手)に6-3で勝利。宿泊先の温泉旅館でパワーを蓄えたエース下沖勇樹(2年)が、菊池雄星(2年)との「プロ注目投手対決」を制した。東北地区から2校が出場する09年センバツ。出場校は、来年1月下旬に開かれる日本高野連による選考委員会で正式決定する。

 跳びはねながら、仲間と抱き合った。声援をくれたスタンドに、何度もガッツポーズを繰り返した。念願の甲子園出場を確実にした下沖が、全身で喜びを爆発させた。「チームのみんなのおかげです。夢がかなって、うれしい」。試合後は時折、声を詰まらせながら報道陣に応えた。

 ライバルを下した。最速149キロを誇る菊池との対決。2回に1点を先制されるも、直後の3回1死二、三塁で自ら右前適時打を放ち同点。さらに2死一、三塁から小野寺翼一塁手(2年)が左越え適時二塁打を放ち、リードをもらった。7安打8奪三振3失点の力投で完投し、同じ岩手出身の菊池に投げ勝った。「雄星は一番のライバルだし、ある意味、目標の存在だった。本当にうれしい」と素直に語った。

 ロングリリーフで100球を投げた前日に続き、この日は116球。疲労回復の源は、温泉にあった。今大会出場校の多くが宮城県内のビジネスホテルに滞在する中、光星学院だけは秋保温泉(仙台市太白区)の旅館「ホテル華乃湯」に宿泊。大会前に同ホテルが選手の受け入れに立候補し、主催の宮城県高野連が最も遠方から来る、青森県の第1代表校の宿泊先に指定していた。

 ホテルには仙台の武将・伊達政宗にちなんだ「天下取りの湯」があり、下沖は前夜に2度入浴。打のヒーロー小野寺は、前日の試合で左ほおに死球を受け食事もままならなかったが「食べやすいように」と、ホテル側がおかゆを作ってくれた。金沢成奉監督(41)も「地の利を生かして、勝てる気がしていました」と笑顔で話した。

 同校3年ぶり4度目のセンバツ。福岡中3年時の06年に日本一を経験した下沖にとっては初の、夢のマウンドだ。それでも「やっぱり優勝して、甲子園に行きたい」。まずは今日の決勝で、みちのくの天下を取る。そして来春には…。全国制覇という天下統一の夢が待っている。【由本裕貴】