<高校野球広島大会:新庄0-0瀬戸内>◇28日◇決勝◇しまなみ球場

 球史に残すべき一戦となった。プロ注目の広島を代表する左右両腕が、壮絶に投げ合った。新庄の田口麗斗(かずと)と瀬戸内の山岡泰輔両投手(ともに3年)がともに得点を与えず、15回まで0を並べた。お互い譲らず、広島が1県1代表制となった59年以降、県大会史上初の決勝再試合の名勝負を生んだ。

 田口は最速146キロの直球とスライダーを武器に19三振を奪う一方で、13安打されたが粘った。最大のピンチは13回。先頭に三塁打を打たれ、満塁策をとった。「頭を真っ白にして、やってきたことをやろうと思った」。次打者の三遊間へのゴロを中林航輝遊撃手(2年)の好守で防ぐと、連続三振で切り抜けた。

 対する瀬戸内・山岡は、完璧な投球だった。9回1死まで無安打投球を続け、15三振を奪い、安打はわずか1本に抑え込んだ。163球の快投に「すごく楽しくて、15回でも早かった」と笑顔を見せた。

 整列後には、2人で言葉を交わした。山岡が「また、こんな試合をしよう」と声をかけると、田口は「点を取らせてくれよ」と本音をこぼした。両校の対戦は昨秋、今春の県大会では瀬戸内が勝利も、夏の大会は新庄が2年連続で勝っている。再試合は明日30日に行われる。【鎌田真一郎】