「母の日」にいい勝利だ。佐藤輝明が10号ソロ、先発・才木浩人も好投と同学年2人が活躍。嶋村麟士朗の代打での初打点は、ここ4試合、チームに記録されていなかった適時打だ。DeNA戦の連敗を「4」で止めた勝利はスコア「3-0」以上の見どころがあった気もする。
梅野隆太郎の2安打も胸にしみた。父子家庭で育った梅野には、小学生で母を失った思いを聞いたことがある。プライベートに踏み込んだのは、私事ながら、こちらが妻を早くに亡くし、幼い頃に母を失った子どもたちの心境を知りたかったからだ。
「何も考えず、野球に打ち込んでましたね。野球、野球でした」。そんな話だった。悲しみ、苦しさから自分を救うのは自分に与えられた目の前のミッションに集中すること…というのは大人も子どもも同じか、と思ったりしたものだ。
さまざまな思考が浮かんだゲームの中で、梅野と並んでファームのキャンプで今年をスタートさせた木浪聖也にもある注目をしていた。大山悠輔を使わないなら「5番・木浪」もあるかも…ということだ。
「全員ショートやん」とニヤリとしたのは8回だ。無死一塁でヒュンメルの痛烈な遊ゴロを小幡竜平が横っ跳びでさばき、6-4-3の併殺に仕留めた。小幡から中野、そして木浪だ。いずれも遊撃経験のある面々。実はぜいたくな内野かも、という気もした。
阪神の打点トップは言うまでもない30打点の佐藤だ。続くのは森下翔太、大山の「20」。不動だったクリーンアップで1、2位を独占しているが、現状、それが崩れている。そこに次ぐのは誰か。意外にも思えるが11打点の木浪だ。規定打席に未到達なのにこれは悪くない数字だと思う。この日も6番でチーム初安打を放ち、先制点に貢献した。
5番は前川右京に期待がかかるが簡単ではない。まずは経験ある木浪が入れば「5番・一塁」でそのまま大山の代わりにはなる。正直、タイプではないが集中ぶりを見ていると、それで急場をしのぐ手もありかと思ったりするのだ。
「(6回は)なんとか先頭で出ようと思っていたので。(一塁守備は)緊張しっ放しでしたがなんとかできてよかった」。そんな話をした木浪が、自身に与えられたミッションを懸命にこなそうとする姿勢は、そのままナイン全員に通じるものだと思う。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




