<高校野球岩手大会:盛岡三13-1西和賀・宮古北・沼宮内>◇15日◇2回戦◇岩手県営野球場

 盛岡三が初戦で西和賀・宮古北・沼宮内連合に5回コールド勝ち。右肘靱帯(じんたい)損傷で1カ月半実戦から離れていた新沼大輝(3年)が4回4安打1失点の好投で復帰した。

 盛岡三の右サイドスロー新沼が戻ってきた。登板は5月25日の県大会久慈工戦以来。3週間のギプス生活から投球練習を始めたのは1週間前。ほぼぶっつけ本番で迎えた初戦は「不安だった」。だが、腕を柔らかくしならせ「丁寧に打たせた」と3回まで無安打1死球。4回に4安打で1失点も「もう大丈夫。やっとチームの力になれた」と満足そうだった。柴田護監督(42)も「新沼があれだけ投げられたことが一番の収穫」と復活を喜んだ。

 エースの本格派右腕清川航矢、変化球が切れる和田凌芽(ともに3年)とともに盛岡三の3本柱を担う。決勝まで進んだ春の東北大会ではスタンドから2人の活躍を見て「悔しかった」というが、柴田監督から「夏には夏の花が咲く」と励まされ、投げられない分ひたすら走り続けた。

 新沼の復帰は25年ぶりの甲子園を狙う盛岡三にとって大きな力になる。最速135キロの球威はまだ戻らないが「もっと上げていきたい」。父剛さん(47)は84年センバツ4強の大船渡の2番、中堅手。春夏の甲子園で8つの盗塁も決めている。「おやじとは全然違う選手だけど、成績は超えたい」。私立を倒して甲子園で父を超える。最後の夏に大輪の花を咲かせたい。【高場泉穂】

 ◆新沼大輝(にいぬま・たいき)1996年(平8)5月5日、盛岡市生まれ。山岸小5年から城南スポーツ少年団で野球を始める。下小路中まで主に外野手。盛岡三入学後投手に転向し、1年秋からベンチ入り。176センチ、70キロ。右投げ右打ち。家族は両親、弟。