<高校野球東東京大会:二松学舎大付9-2成立学園>◇27日◇準決勝◇神宮

 「決勝10連敗中」の二松学舎大付が、春の都大会王者の成立学園を破り、2年連続の決勝進出を決めた。

 「11度目の正直」へ、悲願への思いを乗せた打球が右翼フェンスに向かって伸びた。2回無死満塁のチャンスから連続三振で2死となり、好機を逸したかに見えた直後。チーム一小柄な、二松学舎大付のルーキー、162センチの9番三口英斗内野手(1年)が、右越えに先制の3点適時二塁打を放った。

 今大会スタメン3試合目の背番号「15」。「まだ序盤だし、開き直って、コンパクトに振ろうと思いました。芯に当たりました」とはにかんだ。小柄な体を見て、成立学園の外野陣は若干前に出た。市原勝人監督(49)は「小さいけど、飛ぶんです。前に来たのを見て、ちょっとだけ、上を越えることがよぎりました」と、期待通りの一打だった。

 決勝の呪縛を解くためには、こんな1年生の活躍が欠かせない。決勝に初進出した71年、2-12で日大一に敗れた。以降、昨夏まで42年間で10度決勝に進んだが、まさかの10連敗。昨夏の決勝直後、市原監督は「何かあるような気がします。見つかれば、こうはならないでしょう」と、力なく漏らしていた。

 今年のチームは、三口に加え、2番手で登板して完全救援した大江竜聖投手(1年)、今村大輝捕手(1年)と、1年生トリオが活躍する。三口は「3年生を甲子園に連れて行きたいです」と言った。甲子園には、立正大淞南(島根)で出場した兄直哉さん(18)の応援で訪れ、「歓声がすごくて、グラウンドがきれいで、ここでプレーしたいと思いました」。負の歴史なんて恐れない、怖いもの知らずのルーキーズが、みんなの夢をかなえてくれるかもしれない。【前田祐輔】