<全国高校野球選手権:甲子園練習>◇3日

 2年ぶり8度目出場の盛岡大付(岩手)が東北勢の先陣を切り練習に臨んだ。前日の雨の影響でグラウンドは使えず、室内での練習となったが、ナインは夏初勝利に向け、気持ちを高ぶらせた。

 盛岡大付ナインは土を踏みしめることはできなかった。外野の芝生の上でウオーミングアップをしただけで、与えられた30分間は室内での打撃練習となった。それでも笑顔が絶えず、さかんに声が出る。甲子園に来た喜びは変わらなかった。関口清治監督(37)も「みんながウキウキしている感じがあった。いつ来てもいいな、と思いました」と感慨に浸った。

 プロ注目右腕松本裕樹(3年)を擁し、まずは夏1勝を狙う。キーマンの1人となるのが、松本とともに2年生で13年センバツに出場した菜花大樹(ひろき=3年)だ。当時は1番センターとして勢いを与える役割だったが、今は不動の3番。高校通算57本塁打の長打力を持つ、チームに欠かせないバッターだ。「この場所で出来るのが大きい。楽しみです」と、試合を待ち切れない様子。経験者として「ここでやったことがある分、(松本)裕樹と一緒に引っ張っていければ」と、気合も十分だ。

 甲子園練習後に西宮市内で行った練習でのシート打撃で2本の長打が出るなど、好調ぶりを見せつけた。7月24日の決勝が終わってから「全国で勝つため」と、チーム全員が通常より約300グラム重いバットを1日1000本振ってきた。菜花の右手は、皮がむけ、テープでぐるぐる巻きにされている。「打って勝つ。やってきたことを出せれば」と自信がみなぎる。

 13年センバツで安田学園に勝ったのが盛岡大付にとって、春夏通じ10度目にして初の甲子園1勝だった。それ以来となる、8度目の夏。菜花は「1勝だけじゃなくて、2、3勝と勝っていきたい」。初戦突破の壁を越え、さらに高みを目指す。【高場泉穂】