<センバツ高校野球:東洋大姫路2-4沖縄尚学>◇3日◇準決勝

 沖縄尚学は2点を追う8回、3安打で4点を奪い、東洋大姫路(兵庫)に逆転勝ちした。比嘉公也監督(26)が同高のエースとして優勝した99年以来2度目の優勝に挑む。

 沖縄尚学のエース東浜はひたすら投球に集中した。最後の打者を変化球で三振に取ると、自然とガッツポーズが出た。「今日は無意識にガッツポーズが出ました」。気持ちが途切れたのは、ゲームセットの瞬間。左ひざに痛みが出てきて、スタンドへのあいさつはナインの最後にゆっくりゆっくり向かった。

 準々決勝の天理戦でライナーが左ひざを直撃。痛み止めをのみ、テーピングを施してマウンドに立った。1回に連打で先制点を奪われるが、140キロ台の速球を交えながら粘り強く投げ続けた。7回に1点を追加されても気持ちは切れなかった。エースの気迫が8回にナインに乗り移り逆転。「何も考えずに気持ちで投げました」。最終回にこの日最速となる144キロをマークした。

 エースの意地があった。左足は骨に異常はなかったが激痛が残った。それでも比嘉公也監督(26)に「いけるか」と聞かれて「平気です」とうそをついた。支えは比嘉監督の「自分を信じて気持ちで投げろ」という言葉。99年、右足をねんざしてPL学園との準決勝で延長12回212球を投げ抜いた同監督の姿は、小学生のころにテレビで見てからずっとあこがれだった。

 「明日も気持ちで投げます」。東浜は自分の右腕で優勝旗を持ち帰ることを誓った。【前田泰子】