<全国高校野球選手権:西日本短大付7-2日川>◇12日◇2回戦

 西日本短大付(福岡)が日川(山梨)を破り、92年の全国制覇以来となる18年ぶりの夏の勝利を挙げた。エース森達也投手(2年)が福岡大会初戦から8連続完投。打線も女房役の金子大喜捕手(3年)の本塁打などで7得点。終盤、日川を突き放した。

 最後の打者を二ゴロにうちとると、カクテル光線を浴びたエース森の顔にようやく笑顔が浮かんだ。福岡大会初戦から8連続完投勝利だ。「楽しかったです。ずっとあこがれていたマウンドで投げられてうれしかった」。18年前全国制覇して以来の甲子園勝利をつかんだエースは疲れも見せず笑った。

 甲子園には140キロ台の速球なんて必要ない。森の武器は120キロ台後半の直球と変化球を左右に投げ分ける正確な制球力だ。「甲子園では遅い球でも勝てると思っていた」。序盤から内野ゴロの山でペースを握った。6回以外は毎回走者を出しながらも粘り強い投球で7回までスイスイと無失点に抑えた。ところが、8回には制球が突如、乱れて相手打線につかまった。連打と暴投で2失点と1点差まで追い上げられた。「あの回も別に変わらなかった。打った相手打者の方が上だったんだと思う」。それでも1死満塁のピンチを併殺でねじ伏せピンチを脱した。「気持ちが勝ったんだと思います」と女房役の金子も2年生エースの度胸を舌を巻いた。

 マウンドで1人で踏ん張るエースを打線も強力援護だ。2回、金子が左翼へ本塁打を放って先制。1点差で迎えた8回裏には打者9人の攻撃で4点をあげて突き放した。「8回はピンチを乗り越えていい形で点が入りましたね」と西村慎太郎監督(39)は大舞台でノビノビ力を出し切ったナインをたたえた。

 6年前は初戦敗退。そのとき西村監督の同期生だった新庄剛志氏(39)からマイクロバス1台を贈られた。「新庄バス」で遠くは関西まで遠征に出かけ、6年間で走行距離は7万キロを超えた。「これで新庄にも少し恩返しができました」と西村監督。ナインが目指すのは18年ぶりの頂点。目標を聞かれたエース森は「全国制覇です」ときっぱり言った。【前田泰子】