二刀流で頂点に導いた。日本ハム大谷翔平投手(22)が、西武25回戦(西武プリンスドーム)で、被安打1の今季初完封で4年ぶりの優勝を決めた。打席に立たず、投手専念で今季最多15奪三振、3年連続の2桁となる10勝目だった。右手中指のマメの影響でマウンドから遠ざかった時期もあったが、4年目で22本塁打など打撃成績も自己最高。投打両方で中心となった稀代(きたい)の二刀流選手が、手記を寄せた。

   ◇ ◇ ◇

 うれしいです。こみ上げてくるものがありました。優勝のかかった試合が、自分の登板に回ってくることも、なかなかないことですし、相手が(花巻東の先輩)雄星さんだったので、僕的には特別な感覚。勝つには最高のシチュエーションでした。

 開幕からずっと勝てなかった時期は、しんどかったですね。そんなに悪い内容ではなかったですけど、結果が出ないので。勝てるイメージが湧いてこないというか、どうやって勝っていたのかな…と、正直わからなくなりました。ソフトバンクともだいぶ開きましたし(最大11・5ゲーム)、史上最速で優勝するのではと言われてたのも知ってました。あのときは、追いつけるという感覚では、いなかったです。

 振り返ってみて、ポイントは、7月3日のソフトバンク戦(1番投手で先頭打者弾&8回無失点)ですね。2連勝で迎えた3戦目。しっかりと3連勝できて、「よし、いける」という雰囲気も出てきました。第1打席は、ホームランか三振かという心づもりで臨みました。打ったから、勝ったから言うわけじゃないですけど、大事な試合で結果を残せてよかったなと思います。結果的に15連勝につながって、これはいけるんじゃないかという思いが出てきました。

 (二刀流4年目で)総合値としてはどちらも高くなってきていると思います。投手では、よくないときでも、それなりのパフォーマンスを出せる基準は上がってきたなと。でも最高のパフォーマンスでは、まだない。164キロも出ましたけど、しっくりきた感じはないですね。あのときも登板が開いていたので、肩が元気だったんじゃないですか(笑い)。中学、高校時代は、スピードを出したいから、どういう風に投げたらいいかなという考え方。今は、どうやってうまく動いたらいいかな、うまく動けたら速い球も投げられるよね、と。根本的な考えは違いますけど、やってることは同じです。

 終盤に1カ月半、投げない時期があったのはかなりの想定外でした。でも投げられないことが、マイナスばかりでもないと思っていましたから、そんなに卑屈に考えることはなかったです。栗山監督に「今の打線にはオマエが必要」とも言ってもらえましたし。無理をすればもう少し登板数が多かったかもしれないですけど、総合的に考えて、チームのプラスになるのは、今年は打者だったのかなと解釈しています。2つやることに関して、いまでもさまざまな意見があることは知っています。でも、僕は本当に何とも思わないタイプ(笑い)。気にはしていません。

 ファンのみなさん、応援ありがとうございました。札幌ドームの特徴でもある、スリーボールになったときの拍手は、実はプレッシャーですけどね(笑い)。頑張れという気持ちだと理解はしていても、自分がマイナス思考のときは「ちゃんとストライク入れろよ」に聞こえるんです(笑い)。でも、もちろん後押しはされていますし、声援はあった方がいい。みんなと喜べて、優勝って本当にいいものだなと実感しました。この先の日本一はもちろん、また来年も、連覇を目指して頑張ります。あっ、クビを切られなければですけどね(笑い)。(北海道日本ハムファイターズ投手)