大学の部は、上武大(関東5連盟第2)の山下仁投手(4年=須磨翔風)が完封し、関甲新大学秋季リーグ戦から50イニング連続無失点を飾った。阪神2位で富士大(東北3連盟)の小野泰己投手(4年=折尾愛真)に投げ勝ち1-0で勝利した。

 山下の完勝だった。投げ合った阪神2位の富士大・小野より直球は約5キロ遅いが、4安打13奪三振で完封。今秋リーグ戦からの連続無失点を50イニングに伸ばした。「自分の良さは球のキレ。緩急を使って投げられた」。富士大の打者に「キレの良さは、うちの投手にいないレベル」と言わせた。

 春の絶望から、はい上がった。全日本大学選手権の準決勝は2番手で登板し、中央学院大(千葉)に2回1/3で5安打2失点と打ち込まれた。加えて「3年秋から痛み止めの注射を打ちながら投げていた」という右肩が悲鳴を上げた。直球は130キロ前後まで落ちた。腱板(けんばん)を損傷していた。夏は治療に専念。それが復活につながった。秋に自己最速の148キロ。「肩が痛い時に磨いた制球力も生きた。自分の中で革命が起きた」と、驚きの飛躍を遂げた。

 今秋はリーグ戦から先発、救援とフル回転。西武2位の白鴎大・中塚、中日4位の新潟医療福祉大・笠原にも投げ勝った。卒業後は社会人野球に進む。「2年後のプロ入りは、まだ考えられない。最後に日本一を取りたい」。山下がスコアボードにゼロを並べ、有終の美を飾る。【鹿野雄太】