阪神福留が好守で、岩貞を支えた。2-1の6回、楽天の代打茂木のライナーに飛びついた。左翼線方向に切れていこうとする打球に向かって跳び、グラウンドすれすれで好捕。白球の入ったグラブを高々と掲げた。マウンドの岩貞が両手をたたいて感謝を示したビッグプレーだった。

 勝敗を分けたといってもいいプレー。だが本人は「どうやろね。たまたまグラブに入った」と受け流した。それよりも「サダがいいピッチングをしていたから」と先発左腕を立てた。投手と野手の気持ちがつながり、試合の流れを決める守りが生まれた。

 6月の打撃不振の原因とみられる右手中指の負傷が、14日に明らかになった。鹿児島の実家で連日、テレビ画面ごしに試合を見守る両親は、すぐに異変に気付いたという。だが本人は、ケガについては語らない。他の人間ならくじけるケガでも、顔色一つ変えることなく乗り越えてきたからこそ、40歳でもレギュラーを張る福留がいる。6回のダイブも、捨て身だった。

 「孝介がああいうプレーをすると、チーム全体が締まる。ピッチャーの気合も入ると思う。ビッグプレーでしたね」。価値の大きさを、金本監督が言葉で示した。【堀まどか】