らしい打球が戻ってきた。西武中村が1回2死二塁から、左翼席中段に運ぶ2試合連発の先制の18号2ラン。滞空時間の長い、大きな弧を描いた勝利に導く1発に「いいタイミング、いいスイングで捉えることが出来た。甘い球でしたけど、しっかり打ちにいけました」とうなずいた。

 前夜はチームの連敗を5で止める1試合2発。不振と正面から向き合い、状態を上げてきた。交流戦前の5月下旬。打率は下降し、代名詞の本塁打も止まる中、ぽつりと言った。「打てない時は守りたいんですよ」。DHでの出場は頭になかった。「守っていれば、仕事してるじゃないですか」と冗談ぽく続けたが、守備での貢献は求められている最大の仕事ではないと分かっていた。体を動かし続けることで、キレを取り戻す。少しでもコンディションを上げたいという強い思いからだった。

 試合前には森投手コーチの告別式に参列。多くは語らず「しっかり試合の準備をしました」とだけ話した。その言葉通り4番の役目を果たすひと振り。「本塁打も出て来たし、いい形になってる」と手応えを示した。主砲のバットが、確実に勢いに乗ってきた。【佐竹実】