圧巻の37球だった。左ヒジの手術を受け、4月7日西武戦以来127日ぶりの実戦復帰となったソフトバンク和田毅投手(36)が12日、ウエスタン・リーグ対広島戦(タマホームスタジアム筑後)に先発し、2回1/3を1安打無四球、無失点の好投を見せた。

 「久しぶりなので、思い通りにいかないところもあったけど、いい感じで投げることができたと思う。四球だけは出したくなかったのでよかった」

 先頭打者の庄司には4球連続で直球を投げ込みカウント2-2と追い込んだ。4球目はこの日最速の142キロだった。最後は133キロのスライダーで見逃し三振に仕留めた。続く梵に左翼線二塁打されたが、2死三塁となって4番メヒアを直球で右直に打ち取った。2回はきっちり3人で切ると、3回先頭の岩本をスライダーで見逃し三振に打ち取り飯田と交代した。3三振を奪い、すべての変化球も試投。まったくブランクを感じさせなかった。

 V奪回を目指すチームにとってエース左腕の復活ほど心強いものはない。だが、順調すぎる回復ぶりにも和田は慎重を期す構え。次回は70~80球を想定し、中6日で19日の中日戦(同)に登板予定。「明日の体の状態を確認した上で、しっかりと消化して、上(1軍)の戦力になれるように頑張りたい」。術後からリハビリ中は、大好きな芋焼酎も口にしなかった。開幕直後の離脱だけに痛切に責任を感じていた。早期復帰は最大の目標だが、全快復帰が大前提だ。「9月、10月にしっかりチームに貢献できるようにしたい」。厳しいV戦線に、頼もしい男がいよいよ戻ってくる。【佐竹英治】