自慢の足でプロ初安打をもぎ取った。プロ3年目の阪神植田海内野手(21)が、プロ初スタメンで初めて「H」ランプをともした。2番遊撃で出場すると、7回の4打席目。カウント0-1から3番手福の外角フォークを引っかけた。捕球した遊撃京田がボールを握り直して、一塁へ送球…。50メートル5秒8の韋駄天(いだてん)が一塁ベースを駆け抜けると、一塁塁審の両手が開いた。

 「ああいうヒットをどんどん打ちたい」

 試合後はようやく笑顔になったが、緊張しっぱなしの1日だった。スタメンを告げられたのはこの日の朝。「緊張してました。めっちゃ。全然違いました」。金本監督は「競争もあるし、昨日の大山の4番とは比較にならないぐらい決断がいった」と、悩んだ末にスタメン表に「植田」の名を書き込んだ。初回にはガチガチに固まりながらも無死二塁から犠打をマーク。必死だった。

 7回はヒット直後、果敢に盗塁を狙ったが、失敗。プロ初スチールはお預けとなった。3回2死満塁の守備では、4番ゲレーロの打球が目の前で大きく跳ね上がるイレギュラーバウンド。2点適時打になった。「(守備は)怖いですよ。まだ全然ですけど頑張ります」。何が起こるか分からない。怖さも味わった初安打記念日。まじめに、謙虚に、野球に向き合う。【桝井聡】

 ◆植田海(うえだ・かい)1996年(平8)4月19日、滋賀県生まれ。近江から14年ドラフト5位で阪神入団。今季ウエスタン・リーグで94試合に出場し25盗塁。50メートル5秒8の快足を誇る。175センチ、70キロ。右投げ両打ち。