虎が伝統の一戦を制し、2位を確定させた。敵地東京ドームに乗り込んでの巨人24回戦。先発岩貞祐太投手(26)が5回1失点とリードを保つと、金本知憲監督(49)は自慢の救援陣をフル回転させ、勝利をつかんだ。総力戦をモノにするG倒で、阪神はクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージを14年以来3年ぶりに甲子園で開催する。

 勝利の瞬間、金本監督はコーチ陣とガッチリ握手を交わした。就任以来初のCS進出を果たし、ファーストステージの舞台は本拠地甲子園に決まった。「優勝こそできなかったが、その後の目標は2位だったので、ホッとしています」。140試合目の2位確定に、試合中の厳しい表情を緩めた。

 シーズンを通し、突出した成績を残した選手はいないが、総力戦で白星を重ねてきた。今季の戦いぶりはこの日の試合にも表れた。制球に苦しむ岩貞を5回で降板させ、継投に持ち込んだ。藤川が粘りの投球でピンチをしのぐと、7回以降は打者9人で完璧に封じた。「一時、勝てなかったのも、リリーフに疲れが出始めた時。打たれて逆転されて勝てなかった。リリーフが抑えれば、ウチは勝てる。今年はそういうチームですから」。実績のない桑原をセットアッパーに抜てき。オフに右肘を手術したドリスの再契約を後押ししたのは、指揮官だった。メッセンジャーの負傷離脱など先発陣のやりくりに苦しんだが、リリーフの存在が大きかった。自らの眼力が苦境を救った。

 就任1年目は4位に沈んだ。若手育成に注目が集まったが、ベテランと中堅が力を発揮すれば、上位に行けたという思いを持っていた。今年は奮起を求めた中堅以上の選手が働いた。「中堅の力が大きいね。ベテランは当然ですから。あの3人は」。3安打2打点の俊介らの逆襲がチームの順位を押し上げた。マシソン攻略にはルーキー大山が絡んだ。選手層が厚くなり、140試合目でもバテずに、強さを見せた。

 2位が決まったことで、今後はベテランを休ませながら、CSを見据えた戦いに移る。甲子園から広島へ。下克上のルートが固まった。【田口真一郎】