今オフに海外フリーエージェント(FA)権の行使を視野に入れるロッテ涌井秀章投手(31)が29日、ワールドシリーズ(WS)観戦後初めて、本紙の取材に応じた。23日に渡米し、ドジャースとアストロズのWS第2戦と第3戦を球場で観戦。ダルビッシュ、前田と日本人投手の登板に刺激を受け、夢に描き続けるメジャーリーグへの思いを語った。

 マウンドではクールな涌井も、世界最高峰の舞台に自然と高揚した。観戦に訪れたWS第3戦、ドジャースは同い年のダルビッシュが先発し、前田がリリーフで登板。かつて、日本代表でともに戦った同志の登板に、涌井はスタンドで特別な思いを抱きながら、目に焼き付けた。

 涌井 最高の舞台で戦う2人を見て、うらやましかったです。1球1球、上がっていくボルテージに興奮しました。

 試合には敗れたが、超満員の中、世界最高峰のマウンドで投げる2人の姿はまぶしく映った。北京五輪、第2、第3回のWBCで世界の強打者と対戦。国際大会での真剣勝負で憧れを持ち始めたメジャーへの思いを、WS観戦でさらに強くさせた。

 涌井 いつのまにか、(2人の姿を)自分に置き換えて、観戦していました。近い将来、プレーヤーとして、この場に立ちたいと素直に思いました。

 今季、再取得した海外移籍可能なFA権の行使が確実視される。今季、複数の米球団スカウトが登板試合を視察。大きな故障もなく、先発を担ったシーズンはほぼ毎年、規定投球回をクリアするなど、タフネスぶりが評価される。守護神も経験するなど、順応性も高く、複数の球団が獲得に動く可能性がある。

 米球界移籍を第一に置くが、国内他球団、愛着が強いとされるロッテへの宣言残留も選択肢に入れているとみられる。向上心が強く、厳しい環境に身を置き、成長を続けるのがスタイル。32歳を迎える来季、熟考した上で勝負できる環境を選択する。