浩二超えだ! 守備のベストナインを選ぶ三井ゴールデングラブ賞が9日、発表され、広島菊池涼介内野手(27)が5年連続5度目の受賞を果たした。的確なポジショニングと広い守備範囲で好プレーを連発。リーグ連覇に貢献した。初受賞から目標としてきた10年連続受賞の球団OB山本浩二氏超えとなる生涯受賞を誓った。

 両リーグの全ポジション別で最多の得票数を集めた。それでも菊池は「ホッとしました」と第一声に安堵(あんど)感をにじませた。誰よりも守備に強いこだわり持ち、何よりも欲しかったタイトル。5年連続の栄冠にも満足しないのは、まだ先にゴールがあるからだ。

 「何回取ってもうれしい。来年も欲しいし、再来年も欲しい。やっている以上ずっと欲しい」

 13年の初受賞時に、セ・リーグタイ記録の球団OB山本浩二氏の10年連続受賞を目標に掲げた。「コツコツ来ましたね。でも折り返しが一番きつい」。登ってきたからこそ頂の高さを感じる。それでも「来年もコツコツやって取り続けられるようにやっていきたい」と意欲は衰えるどころか、増すばかりだ。

 今季は開幕前のWBC出場の影響や突き指などのケガもあった。それでも、入団時の教えが菊池の体を動かした。「打てなくても、ミスをしても、守りはしっかりやれ」。守備からレギュラーを獲得し、今がある。「守備から流れができる」と守りでチームを鼓舞し続けた。

 安打性の当たりを何度もアウトにしてきた名手は、今季のベストプレーに8月13日巨人戦(マツダスタジアム)の守備を挙げた。宇佐見の前方へのゴロの打球に、チャージをかけて捕球直後に一塁へロンググラブトス。「イチかバチか。たまたまいいところに行ってアウトになって良かったと思う」。高い身体能力だけでなく、経験やデータに裏付けされたポジショニング。そして野生の勘が規格外のプレーを生んでいる。菊池は誰もたどり着いていない領域を目指していく。【前原淳】