ソフトバンク石川柊太投手(25)が18日、ヤフオクドーム内の球団事務所で契約更改し、球団史上最高となる500%アップ、500万円から2500万円増の3000万円でサインした。今季1軍デビューし先発、中継ぎでフル回転。34試合登板し8勝3敗の好成績。育成出身らしく、ぜいたくを控え、浮かれることなく真価の問われる来季を見据えた。

 育成の星が球団の歴史を塗り替えた。石川が500万円から3000万円へ、500%の大幅昇給。「これだけ上げてもらってありがたい」。アップ率500%は、03年オフ、当時ダイエーの和田が記録した433%(1500万円から8000万円)を超えた。

 大卒4年目、支配下2年目の今季はキャンプでA組に抜てきされ、最後まで落ちることなく1年間1軍で活躍。中継ぎでデビューし先発、そして再び中継ぎとして8勝3敗。CS1勝、日本シリーズでも2勝した。大幅昇給の使い道を聞かれ「ももクロ(ももいろクローバーZ)のDVDを鑑賞用と保存用を買おうかな」と、大好きなアイドルグループのグッズを大人買いするささやかな夢を語った。さらに、これまで毎月1万2000円ずつ返済してきた奨学金を一括返済する。残りは400万円を越えるという。創価大にも100万円程度寄付をするつもりだ。

 初めてのV旅行には母、弟、妹と一緒に行った。自分はハワイの海に球団支給の携帯電話を落とし、新しい携帯代に8万円の出費と苦い思い出となったが、家族に恩返しできた。仕事で行けなかった父にはベンツの新車をプレゼント。「自分は今のプリウスでいい。3000万円になったからって生活レベルを急に変えるのも…」と浮かれることはない。牛丼チェーン店で牛丼にサケとサラダをつけてバランスを取る食生活は来年も変わらない。

 来季は先発なら2桁勝利、中継ぎなら50試合登板が目標。13年育成ドラフト1位の雑草右腕は、足元を見詰めて前に進む。(金額は推定)【石橋隆雄】