偉大な先輩を育んだ母校の教えを胸に、プロの扉を開いた。西武のドラフト1位、斉藤大将投手(22=明大)が7日、埼玉・所沢の若獅子寮に入寮。色紙に力強く「人間力」と書き込んだ。「明治の中でずっと受け継がれてきたもの。スポーツ選手である前に1人の人間であることを忘れてはいけない。日々の行いから大事にしていきたい」と口元を引き締めた。

 4日に他界した星野仙一氏を鍛え上げた、故島岡吉郎元監督が説いてきた言葉だ。「自分のことは自分でやれ」という方針の元、4年生が率先して行う選手寮の掃除は今も続く。斉藤大はごみ箱担当で「掃除をやるのは当たり前。大学の4年間は人間力を学ぶためにあったんじゃないかという時間だった」と感謝した。

 星野氏とは、昨年1月の明大の優勝祝賀会で会った。話をする機会はなかったが「オーラがあって、自分の弱さを見せない印象」を受けたという。突然の訃報に「悲しいし、驚きました」と明かすと同時に「あらためて、伝統を受け継いでやっていかないといけないと思った」と力を込めた。

 3月に、その大先輩の故郷、岡山・倉敷で楽天とのオープン戦が行われる。即戦力左腕は「そういう場所で投げて(星野さんに)見ていただければ」と誓った。持ち味は天国から見守る星野氏と同じ、強気の投球。「攻めていかないと、この世界では通用しない。やれることを最大限やって、挑戦していきたい」。母校の原点を心に、第1歩を踏み出した。【佐竹実】