阪神西岡剛内野手(33)が今シーズンに完全復活をかける心境を告白した。12日、大阪府内の施設で日本ハム中田らとの合同自主トレを公開し、「優勝をしたい。その中でチームに貢献できる存在になりたい」と宣言。そのために「野球10割」で全力を傾ける決意を口にした。16年7月20日の巨人戦(甲子園)で左アキレス腱(けん)を断裂。昨年7月に復帰したものの32試合出場に終わった西岡が、二遊間のレギュラー奪取に挑む。

 今季の活躍を誓う男は終始、笑顔を見せなかった。ただ黙々とグラウンドで体を動かした。「先憂後楽(せんゆうこうらく)」。先に苦労をした者は後に楽しめるという意味で、これは西岡が掲げている座右の銘。まさに現状の立場を表した言葉なのかもしれない。

 「いま置かれている立場はレギュラーでもなく、今年新入団した選手と同じ気持ちでグラウンドに立つことになると思います。不安要素は正直持っていますけど、それを打ち消すためにトレーニングをしている」

 大阪桐蔭の後輩、日本ハム中田らとの合同自主トレを公開。ノックや打撃練習などで汗を流した。後輩の姿にかつての自分がダブったのか。若手の頃を「ブレていた」と振り返った上で、こう表現した。「8割野球で2割を違うところに向けるのであれば、10割を野球に向くようにしないといけない。若い選手と触れ合っていく中で、そういう選手が少しでも減るように、僕が人生を歩んできた中での失敗談を伝えていきたいなと思います」。豊富な経験を伝授しながら、「野球10割」を体現。自分自身に全力でムチを打ち続けるとした。

 1月4日には、08年北京五輪で監督と選手として共に戦った星野仙一氏が急逝した。昨年12月1日の殿堂入りパーティーに出席していた西岡は突然の訃報に「驚きました」と神妙な面持ちになった。打撃不振で苦しんでいた時にかけられた言葉を今も忘れていない。

 「『とにかくその気迫を前面に出して、その性格のまま野球スタイルを貫いてくれ』と言われた。メダルは取れなかったんですけど、『お前には感謝してる』と言われた時はすごくうれしかったです」。闘将への熱い思いも、グラウンドで体現していく。

 この日は何度も「野球と向き合っていきたい」と口にした。左アキレス腱(けん)断裂から昨年7月に戦列復帰。今年は完全復活を目指す。上本に大山、糸原に北條…。二遊間のレギュラー争いは激しさを増していくが、「僕は優勝をしたい。その中でチームに貢献できる存在になりたい」。覚悟を決めて、全力疾走を続ける。【古財稜明】