ソフトバンク田中正義投手(23)が16日、A組昇格へ向け巻き返しを始めた。B組の打撃投手として今季初めて打者と対戦。真砂、黒瀬、茶谷らのべ10人の打者に対し、47球を投げ安打性は5本だった。「しっかりと投げ切れた。置きにいった球はなかった」と納得の表情だった。

 直球と分かっていても打てない。育成樋越は5球のうち3球空振り、2球ファウルだった。安打性を2本放った真砂は「ほかの投手よりリリースポイントが前なので、ものすごく近くから投げて来る感じ。高めにも低めにもいい球がきていた」と驚いた。

 報告を聞いた工藤監督も「直球の走りがよかったと聞いている。(次への)段階を踏んだとは思う」と評価。20日のB組対社会人JX-ENEOSとの練習試合で登板(1イニング)をゲットした。

 今キャンプはB組スタートも第1クール4日間で3日ブルペン入りし猛アピール。だが、右人さし指の爪、中指のマメの影響で第2クールに予定されていたA組相手の打撃投手を2度とも回避した。

 「体はもう大丈夫。もっとリリースポイントも前にしたい。打者を抑える段階なので、自分との戦いにならないように」。フォーム固めから実戦モードに切り替えた。まだ、開幕1軍入りはあきらめる時期じゃない。

 右肩痛のため即戦力の期待に応えられなかった昨年の悔しさも、このキャンプでの悔しさもバネに、田中がその剛腕ぶりを発揮する時が来た。【石橋隆雄】