今季初のサヨナラ勝ちでトンネルを抜けた。オリックスが引き分けを挟んだ連敗を「5」で止めた。2-2で迎えた9回1死二、三塁。2番大城が楽天ハーマンの147キロをフルスイングし、左翼手の頭を越した。「自分でも興奮して何が起こったか分からない」。歓喜のシャワーを浴びた大城は、プロ初のサヨナラ打に驚きを隠せなかった。

 1番宗がもう1人のヒーローだった。1点を追う7回1死二、三塁、楽天藤平の初球142キロを捉え、一時は逆転となる左越え2点適時二塁打。9回にも1死二塁から右前打でつなぎ、サヨナラ勝ちをお膳立てした。3回の左前打を含めてプロ初の猛打賞。宗は「必死にやってたんで実感ないです」と、苦笑いで話した。

 天国のおばあちゃんもほほ笑んでいるはずだ。3月22日。練習中に母方の祖母の死去を知らされた。レギュラーをつかみ臨む4年目、開幕直前の訃報。それでも「僕が支えていかないといけない。じいちゃんに、かあちゃんに…」。野球に没頭することが、家族の幸せにつながると前を向いた。

 若い力で接戦を制した。福良監督は反発力を見せた1、2番コンビに「若い選手がよく頑張ってくれたね」とえびす顔だ。借金5と苦境は変わらないが、福良オリックスの逆襲が、ここから始まる。【桝井聡】