球足鋭い打球が三遊間を抜けた。ロッテ中村奨吾内野手(25)は甘く入った144キロ直球を逃さずに振り切った。3点を先取した2回2死満塁で決めた左前2点適時打。「流れに乗せてもらって、甘い球を逃さずに打つことが出来た。それしかないです」という一打で、試合の流れを一気につかむ5得点のビッグイニングを完成させた。

 連続試合安打を17に伸ばし、打率3割2分3厘はリーグ3位。開幕から「3番二塁」として重責を担うが、井口監督からのひと言が支えになっている。「フォアボールはヒットと同じと言っていただいて。その言葉のおかげで強引にいかず、ボールを見極められるようになっていると思います」。厳しいコースは見逃し、好球必打を徹底する。その意識が4割を超える出塁率に表れる。前夜は最終5打席目の二塁打で連続安打をつないだが「それよりも四球を2つ取れたことが大きかった。出塁すれば盗塁のチャンスも生まれる。次につなぐことで得点に絡むことができる」。言葉通り、三ゴロで一塁に残ったこの日の4回には、今季13個目の盗塁を決めてみせた。

 首位西武の山賊打線のお株を奪う集中打で、2戦連続の2ケタ得点。連日の快勝に「上のチームに勝つことで勢いも出てくる」と力を込めた。その主軸に座るが「(連続安打は)ずっと続くものじゃない。1日1本が目標。その積み重ねです」と慢心はみじんもない。“海賊打線”を引っ張る走攻守そろった3番打者。プロ4年目で開花しつつある。【佐竹実】

 ▼ロッテが11日の12得点に続き11得点。ロッテの2試合連続2桁得点は、15年5月9日10-2、10日11-1(ともに西武戦=QVCマリン)以来。2試合連続11得点以上は前回リーグVの05年に8月12日11-3、13日13-8(ともにオリックス戦=スカイマーク)と記録して以来になる。