慶大がサヨナラ勝ちで勝ち点4とし、秋春連覇へ大きく前進した。4-4の9回2死二、三塁、8回から途中出場した1年生の渡部遼人外野手(桐光学園)が、中前へリーグ初安打を放った。1回戦に続く劇的勝利で明大を下し、最短で26日にも優勝が決まる。

 指揮官の秘蔵っ子が、2季連続Vを再び近づけた。9回裏2死二、三塁。この試合初打席の渡部が、直球をたたきつけた。打球が中前へ抜けると、慶大ベンチはお祭り騒ぎになった。「すごくうれしかった。でも、自分はたまたま、おいしいところを持っていっただけ。それまで粘ってくれた先輩に感謝です」と、170センチの小兵は遠慮がちに笑った。

 試合後、少し目を赤くした大久保秀昭監督(48)は「渡部は高校時代から光っていた」と振り返った。50メートル6秒の俊足や、野球に取り組む姿勢を買っていた。渡部にもその声は届いていた。「自分も6大学でプレーするのが目標だった。学力が届いていなかったので、ずっと勉強していた」とAO入試に挑んだ。落ちれば浪人の覚悟だったが2期で見事合格。そんなルーキーが戦力となり、延長10回サヨナラ勝ちした1回戦に続く劇的勝利をもたらした。

 渡部の同期には、大型スラッガーの正木や福井がいるが「張り合うことなく自分のできることをしたい。今日のヒットは自信になりました」と笑った。26日に明大が法大に敗れれば優勝が決まる。しかし、慶大は早慶戦を制した上で完全優勝を目指す。【和田美保】