中日が逆転サヨナラ勝ちで連敗を4で止めた。選手会長福田の祈りが通じた。「抜けてくれ!」。同点に追いついた9回1死一、三塁。巨人沢村の143キロのフォークはバットの先に当たった。沢村のグラブにかすったが、打球はセンター前へ。藤井が三塁から万歳しながらホームを駆け抜ける。一塁ベース上で仲間からのタンクの水をかけられる、手荒い歓迎を受けた。

 「みんながつないで、つないで回ってきたタスキ。気持ちで負けないように打席に入った。最高です。頭を取れたので、明日も明後日もチーム一丸で勝てるようにがんばります」。9回1死、平田の5号ソロから始まった。高橋、藤井の連打。3回に先制2号ソロを放った松井雅が右前に同点打でつなげた。1死一、三塁。この日はスタメン落ちし、ベンチで持ち続けた集中力を1打席で発揮した。「プロ入り前も記憶にない」。野球人生初のサヨナラ打の感触に浸りながら、福田は喜びを爆発させた。

 前夜のヤクルト戦では2点リードからサヨナラ負け。正反対の結末に、森監督も興奮した。「最高じゃないですか。これ以上言うことはない。昨日がみっともない負けで、今日はとんでもなく素晴らしい勝ちだった。たくさんのお客さんの前で勝つことができた。この(ファンの)勢いをもらう」。今季3度目のサヨナラ勝利。この日で、今季主催試合の観客動員が100万人を突破(100万5577人)。35試合目で、昨季より3試合早い大台を突破だ。本拠地を埋めた2万8920人のファンのパワーを反攻への力に転換できれば、竜の反攻は現実味を帯びる。【伊東大介】