神様、仏様、フランキー様!? 広島ヘロニモ・フランスア投手(24)が月間登板数の球団記録更新を誓った。8月はすでに15試合に登板し、残り4試合で新記録に挑む。さらに17試合のセ・リーグ記録、稲尾和久(西鉄)らが持つ18試合の日本記録到達にも可能性を残す。今年1年で練習生から育成選手を経て、支配下選手となり、急成長を続ける左腕が大記録に挑む。

デビューイヤーにいきなり日本球界の歴史を塗り替える勢いだ。今年5月に育成契約選手から支配下登録選手となったばかりのフランスアだが、今やセットアッパーとして欠かせぬ戦力となった。特に中継ぎ陣に疲労の色が見える暑い8月に15試合登板とフル回転。残り4試合で球団記録だけでなく、リーグ記録、そして日本記録超えの期待が高まる。

まず射程圏に入れるのが、球団記録だ。17年の今村や中崎ら8投手が記録した月間16試合登板に、あと1試合とした。練習生から育成選手時代に指導を受けた菊地原(現3軍投手コーチ)も記録する数字だけに「菊地原コーチは自分にとってはパパ。3軍にいたときにいっぱい教えてもらった。試合に投げず、ケガもした。いつも頑張れと励ましてくれてうれしかった」と意識は強い。記録更新が最高の恩返しとなる。

4年前の9月に練習生として初来日。日本での長い下積みを経て今季、大きく成長を遂げた。先発から中継ぎへ配置転換されたことで腕の振りが良くなり、スライダーの切れが増した。先発時に決め球としたチェンジアップとともに相手打者を圧倒。首脳陣からの信頼の厚さが登板数に表れている。負担が増しても8月の月間防御率は0・61。抜群の安定感を誇る。

ラストスパートをかける中、フランスアの登板が増える可能性はある。月間17試合登板の球団記録更新は、久保田(阪神)、西村(巨人)らと並ぶセ・リーグタイ記録。さらに稲尾(西鉄)と益田(ロッテ)が持つ日本記録の月間18試合登板もちらつく。「チームが勝っていれば(日本記録にも)届くかもしれない。準備はできています」。今日から4連投で締めくくれば、一気に「神様」超え。昨年の今ごろはまだ練習生だった左腕が、ジャパニーズドリームを描くかも知れない。【前原淳】